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マンションの震災対策

[第1]震災対策を考えるポイント

[I]マンションの震災対策の枠組みを考える

1.時系列で考える

  1. 事前の備え
  2. 発生直後
  3. 発生から3日目ぐらいまで(外部の支援が無い期間)

2.災害時の対応方法で考える(公助・共助・互助・自助)

3.担い手の役割で考える(管理組合、自治会)

[II]マンションに何が起こるかを想定する

1.過去の大震災の被害状況を知る

  1. 東日本大震災の教訓
  2. 阪神・淡路大震災の教訓
    ■災害時の被害パターンを分類して検討しておかないと、災害時に対策が役に立たない場合があります。
    ■マンションにおいて、電気、ガス、水道、下水道等のライフラインに分けて、災害時の対応策を検討する事が大切です。

2.居住している自治体の被害想定やハザードマップを確認する

3.自分のマンションの建物・設備や敷地の状況の確認

  1. 建物の耐震性
  2. 敷地の地盤
  3. エレベーター、給水設備、インターホンやオートロック、放送設備等>

[III]行政・近隣・管理会社との関係

1.行政との関係

  • 行政は防災対策を自治会・町内会を基本に組み立てています。
  • 近隣の町会、さらには行政と連携する事により、物資や情報がマンションに確実に届くような仕組みづくりが重要です。

2.近隣との関係

(1)自主防災組織の設置
  • 自主防災組織とは、主に町内会・自治会が母体となって地域住民が自主的に連帯して防災活動を行う任意団体ですが、マンションの規模により独自設置の検討が必要です。
  • 防災計画の作成、防災組織の設置、防災担当理事の選任等検討すろ必要があります。
  • 自主防災会を組織すると防災グッズを無償貸与してくれる市区町村もあるので確認します。 (横浜市の場合は、町の防災組織活動費補助金制度があります。1戸あたり@160円)

3.管理会社との関係

  • 管理会社と管理組合の役割分担を事前に決めておく事が重要です。
    緊急時連絡先名簿作成、管理会社の緊急対応などの業務範囲、マンション独自の防災マニュアル作成の為、管理会社作成の汎用的な防災マニュアルひな型があるか確認します。



[第2]震災対策チェックリスト・20項目


マンション管理センター震災対策チェックリスト

[I]命を守り、被災者の生活を維持するために必要な備え

1.住民が自宅で備える「もの」「こと」のリストをつくって徹底します。

(1)各戸で少なくとも3日分の備蓄品:「もの」

自宅生活必需品 飲料水(9L/人/3日)、食料品、トイレパック、懐中電灯、乾電池、卓上コンロ、携帯ラジオ
その他必要品 ポリタンク、ウエットティッシュ、アルミ箔、布ガムテープ ポリ袋、タオル、軍手、食品用ラップ、携帯用充電器
手に入り難いもの 紙皿、紙コップ、常備薬、生理用品、メガネ、貴重品 救急医薬品、紙おむつ、粉ミルク、台車

(2)家具の転倒防止、電気製品の固定、ガラスの飛散防止対策をします。:「こと」

 

2.地震発生直後にどう行動するかマニュアルをつくって居住者に徹底する

3.震災発生を想定した防災訓練を実施する

4.近隣グループでの「互助」できる関係をつくる

防災訓練時の安否確認訓練を近隣グループで協力して実施することは、近隣が顔見知りになるきっかけになります。

5.マンションで備えるもののリストを作成し実際に備える

(1)マンションの共有備蓄品の備え

  • 管理会社のカタログ等も参考に何をそろえるか検討します。
  • 管理組合で全てをそろえるのは、費用的に無理があります。管理組合でそろえるものと各家庭でそろ えるものとのすみ分けが重要になります。
停電対策 自家発電機、投光器、大型懐中電灯、ヘッドライト、配線用コード、暖房器具
情報伝達 電池式メガホン、トランシーバー、電池
救助・救出 バール、工具、担架
本部運営 簡易トイレ、テント、ポリ袋、毛布、ビニールシート
建物安全確保 ベニヤ板、カラーコーン、ロープ、危険個所テープ(ハザードテープ)
復旧 スコップ、土のう袋、リアカー

6.地震発生直後の役員の行動マニュアルをつくって準備する

  • どのような状況でどのように行動するか分担等を明確に決めておく必要があります。

7.区分所有者、居住者、要援護者の名簿をつくる

  • 外部区分所有者の電話番号等も常に更新しておきます。
  • 個人情報保護の観点から、その保管や利用方法について、明確なルールを決めておきます。

8.居住者の安否確認体制をつくる

  • 原則各戸を回りますが、要援護者名簿がある場合はそれを優先します。
  • 玄関ドアに、「無事です」「援助をお願いします」等の表示があると、迅速に確認出来ます。

9.近隣や行政とのつながりをつくる。

  • 災害情報の提供、救援物資の配布など、近隣や行政から受けることができる支援やその対応窓口についての情報収集をすることが必要です。
  • その為には、自治会や行政と日頃から連携、協力する姿勢が重要です。
  • 避難所の場所や収容能力等について事前把握しておく必要です。

10.非常時の区分所有者、居住者への情報伝達の方法を確保する

  • 掲示板に使う文書の様式を事前に用意する事や災害専用のメーリングリストの登録等を検討します。
  • 同じフロアー等の近隣グループで自発的に情報を伝え合える関係を普段からつくっておく事も重要です。

11.居住者の救助・救護体制をつくる

  • 独自でけが人や自宅療養者への対応が必要な場合があり、居住医療関係者の確認も重要です。
  • 要援護者等を1階まで下ろすための階段昇降機、担架、毛布や一時収容スペース等が必要です。

12.管理組合としての備蓄・避難所運営体制をつくる。

  • 1階が避難所になることを想定して、水、食品、災害用トイレ等を備蓄することも必要です。
  • 飲料水用の保存袋やポリ容器、食事配給用使い捨て容器等の備蓄も必要です。
  • トイレを設置するには、独立したスペース等が必要です。

13.敷地内でのごみ保管体制をつくる

  • 汚物の入ったトイレ袋等は、各住戸で保管する事が最も適当な方法であり、周知徹底します。
  • 震災で壊れた危険物、粗大ゴミ、一般ゴミが多量に発生しますが、その保管場所も検討しておきます。

[II]できるだけ早い復旧のために必要な備え

1.竣工図書、修繕履歴等を整備する

  • 電子化して安全なところに保管することも有効です。

2.震災被害を受けた場合の復旧資金について考える

  • 地震保険の加入や修繕積立金の積み増しの検討が必要です。

3.被害状況を迅速に把握し対策ができる体制をつくる

  • 危険個所を確認し、立ち入り禁止のロープを張るなど注意喚起が重要です。
  • 設備は、点検が終わるまで使用しない、使用させないことが原則です。
  • 居住者や近隣居住の専門家の支援が受けられる体制をつくっておきます。

4.被災時の緊急対応工事の合意形成について考える

  • 緊急時の決議についてあらかじめ規約に定めることが望ましいです。

[III]建物・設備の被害を最小限にするための備え

1.建物の耐震性を確認のうえ、耐震診断を実施する

  • 特に昭和56年5月以前に建築確認申請された旧耐震基準の建物は、必要です。
  • 「耐震改修促進法」により、緊急輸送道路に面したマンションでは、耐震診断が義務付けられています。

2.設備の耐震改修工事を実施する

(1)給水設備・配管の耐震化

  • 高置水槽の転倒防止や地中埋設管の耐震性に優れた継手への交換の検討が必要です。
    •  被害抑制や災害時対応技術の利用を検討します。(緊急給水遮断弁、マンホールトイレ、耐震丁番等)
    •  一番困るのは「トイレ」なので、マンホールトイレの設置検討も重要です。どのマンホールが災害用 トイレを設置出来るのか調べておく事が重要です。
    •  電気が止まっても共用トイレや管理事務室は、給水ポンプを経ずに、公共水道管に直結している場合が多いので、公共水道管に直結している個所をあらかじめ調べ公表しておく事が重要です。

(2)貯水式電気温水器の耐震工事

  • 3点で固定されているかを確認し、上部に振れ止めを設置する事等が必要です。
  • 専有部分であるが、漏水等の危険を管理組合で周知し耐震工事の実施を徹底する事が必要です。

(3)エレベーターの地震対策

  • エレベーターのシステムを確認して、居住者に緊急の際の対策を周知しておく事が重要です。
    (P波感知器付地震時管制運転装置・停電時自動着床装置・遠隔通話装置の有無や操作方法の確認)

3.建物の耐震改修工事を実施する

  • 耐震改修工事は、多額の費用がかかる等、合意形成に時間がかかるので、耐震性能の確保が必要な個所を優先的に行うことも有効です。

4.その他、特殊な防災設備対応(各マンションの状況に応じて検討します)

  • 雨水を活用した防火水槽設置(都道府県、市区町村での助成制度活用)
  • 受水槽の水を防災用の飲料として使用する為、アタッチメントで脱着式水詮口の装備
  • 水を作る機械(雨水等の雑水を高分子ろ過機にて飲料水を作り出す装置)
  • 非常用電源としての太陽光発電設備(行政補助金制度あり)
  • 非常用電源としての電気自動車のカーシェアリングの活用(EV用充電器の補助制度あり)

[第3]実際にやってみる

 マンション管理センター作成「震災対策チェックリスト」P.14~P17参照

※出展 マンション管理センター作成「震災対策チェックリスト」